ゲーム理論を日常生活に活用する方法(囚人のジレンマ、ナッシュ均衡、しっぺ返し戦略)

今回は、“ゲーム理論”の解説と、ゲーム理論を日常生活に活用する方法をご紹介させていただきます。
この記事を見た方は、次の2つのことができるようになりますので、ぜひ、最後までお読みください。

  1. ゲーム理論の『囚人のジレンマ』と『ナッシュ均衡』を理解できる
  2. 人生のおいて合理的な判断ができるようになる
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ゲーム理論とは?

ゲーム理論は、1944年、数学者のフォン・ノイマンと経済学者のオスカーによって作られた、戦略的意思決定に使われる理論です。

ゲーム理論とは、社会や自然界における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的なモデルを用いて研究する学問。数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンの共著書『ゲームの理論と経済行動』(1944年) によって誕生。

ゲーム理論を一言でいうと、相手がいる状況で、自分がどのような行動をしたら、最も有益であるか、を考える理論です。

たとえば、将棋や囲碁をやったことがある人にはわかると思いますが、先手と後手がお互いに、相手の次の手を読みながら、自分の手を選択するのとよく似ています。

囚人のジレンマ


ゲーム理論を語るうえで、とても有名な話に、 “囚人のジレンマ”という話がありますので、その物語をご紹介させていただきます。

例えば、いま、あなたとあなたの友人で、銀行強盗の容疑で取り調べを受けているとしましょう。

容疑者であるあなたたちは、別々の檻で、お互いが何を言っているかを知ることができません。あなたは、捕まってしまった悔しさから、黙秘を貫いています。

すると、そんな中、検察官が、

「お前たちがやったことは分かっている。素直に白状するんだ。」
「もし、お前だけが、あいつがやったと正直に白状したら、お前は無罪にしてやる。」
と、自白することを持ちかけてきます。

検察官が出した条件は次の通りです。

  1. 2人とも黙秘をつらぬいたら、2人とも懲役2年
  2. 1人だけ白状し、もう一方が黙秘していたら、白状した方は無罪、黙秘した方は懲役10年
  3. 2人とも白状したら、2人とも懲役5年

容疑者として捕まっているあなたの選択肢は、『白状するか、黙秘をし続けるか』の2つに1つです。

このとき、お互いにとって、最も望ましい結果は、二人とも白状しないで黙秘を貫き、証拠があがっている部分だけ罰せられ、二人とも刑が軽い2年を選択することです。

逆に、最も悪い結果は、2人ともお互いを売って自白をしてしまい、二人とも懲役5年をくらうことです。

しかし、問題があるのは、自分だけが黙秘をして、相手が白状してしまった場合です。

もし、自分だけが黙秘をして、相手が白状してしまったら、相手は無罪となり、自分だけ懲役10年をくらわないといけなります。これは最悪の事態です。

さて、このような条件だったら、あなたはどうするでしょうか?

もう一度整理して考えてみると、このケースの場合、相手が黙秘している場合は、自分は自白した方が有利です。

また、相手が自白している場合も、自分が自白した方が有利となります。

そして、これは相手に対しても、全く同様のことが言えるため、両者とも『自白』してしまいます。

本来は、2人とも黙秘した方が、お互い2年の軽い刑で済むのですが、自分のリスクを考えると、自白するしか選択肢がなく、結果として、お互い5年の懲役を受けることになります。

これが、囚人のジレンマのお話です。

囚人のジレンマとは、自分にとって一番魅力的な選択肢を選んだ結果、協力した時よりも悪い結果になってしまうことを言います。

ナッシュ均衡

ちなみに、“自分の選択を変えると利益が得られないことがわかっており、そこから動けない状況”を、『ナッシュ均衡』と呼びます。

ナッシュ均衡という言葉も、ゲーム理論にはよく出てきますので、ここで、具体例を出して解説させていただきます。

たとえば、3つの電気屋さんが冷蔵庫を売っているとします。3つの電気屋さんは同じ町にあり、ライバル状態にあります。

売っている冷蔵庫は同じ商品なので、電気屋さんがとれる販売戦略は、値上げか値下げの価格変更だけです。

あるとき、A社が、値下げをしました。すると、A社の売り上げが上がります。

その後、追随して、B社も値下げをします。結果、B社の売り上げも上がりました。

こうなると、C社も値下げせざるを得なくなり、C社も値下げします。

これで、冷蔵庫の価格は同じになりました。

今度は、B社が新たな値下げをしました。すると、B社の売り上げが上がります。

そうなると、お客を取られてしまったA社とC社も値下げをしてきて、値下げ合戦が始まります。

ただ、この値下げ合戦は長く続きません。3社とも、これ以上値下げができなくなりました。

このとき、C社だけ値上げをする戦略はとれません。値上げをしたら売り上げが下がるからです。A社もB社もC社も、値上げも値下げもできなくなりました。この状態をナッシュ均衡といいます。

3社が一斉に値上げをすればいいのですが、これは、談合となり、法律で禁じられています。

ということで、もう一度言うと、“自分の選択を変えると利益が得られないことがわかっており、そこから動けない状況”が、ナッシュ均衡です。

ナッシュ均衡の例としては、街の電気屋さんのほかにも、携帯電話やプロバイダの料金、あるいは、世界に核がなくならないことなどについても、ゲーム理論のナッシュ均衡で説明できます。

ゲーム理論を生活に落とし込む『しっぺ返し戦略』


さて、ここからが本題なのですが、囚人のジレンマとナッシュ均衡の例を理解したところ、今度は、我々の日常生活で活用できるゲーム理論をご紹介します。

囚人のジレンマは、“自白するかどうか”という一回限りの判断だったため、お互いに相手を裏切る結果となりましたが、日常生活においては、それが当てはまりません

日常生活においては、たった一回限りの関係ではないため、お互いに協力しあって、相手と利益を分かち合うほうが合理的な判断になることが多いです。

たとえば、日常のビジネスにおいても、何度も同じお客さんからリピートしてもらった方が最終的な利益が大きくなりますね。

しっぺ返し戦略とは?

日常に近い状況で、最も合理的な戦略と言われているのが、しっぺ返し戦略です。

しっぺ返し戦略は、囚人のジレンマのように1回限りの関係ではなく、長期的な関係を踏まえて考えてられているので、私達の日常に応用できます。

しっぺ返し戦略のルールは簡単です。

  1. 先に自分から裏切らないこと
  2. やられたらやり返すこと
  3. 相手が関係を戻しに来たら許すこと

これだけです。

この戦略は、さまざまなシュミレーションにおいて、最も大きな利得が得られることが分かっています

「しっぺ返し戦略」は、基本的には、相手に協力関係でいるが、相手が悪意を示してきたら、その時だけ、悪意で次回応えるという戦略です。

これは、日常生活にも応用できて、例えば、初めて会う方には、協力的でいること。ただ、何か相手に不利益なことをされたら、次はこちらも不利益をやり返します。

ただし、ずっと根に持って関係を切ってしまうのではなく、もし、相手が新たに協力してくれたら、こちらも次回から協力します。

先に自分から裏切らない、やられたらやり返す、相手が関係を戻しに来たら許す。

このことを繰り返すことで、最大の利得が得られるようになります。

もちろん、日常で、何でもかんでも『しっぺ返し戦略』をもちいる必要はありませんが、この戦略を知っていることで、相手にやられっぱなしで泣き寝入りするとか、最初から相手に懐疑的になりチャンスを逃しまったり、一度の失敗だけで相手との関係を壊してしまい、こちらの利益も減る。ということが少なくなりますので、ぜひ、参考にしてみてください。

まとめ

ということで、今回のまとめです。

  • ゲーム理論とは、相手がいる状況で、自分がどのような行動をしたら、最も有利であるかを考える理論
  • ゲーム理論を日常生活に応用するには、しっぺ返し戦略が有効

しっぺ返し戦略のルールは、

  1. 先に自分から裏切らないこと
  2. やられたらやり返すこと
  3. 相手が関係を戻しに来たら許すこと

ということで、今回は、ビジネスでよく使われるゲーム理論の解説と、ゲーム理論を日々の生活に役立てる方法をご紹介させていただきました。

今回の動画は、ゲーム理論やナッシュ均衡など、普段聞きなれない言葉があり、一度で理解するのは難しいと思いますので、もし、理解できなかった場合は、何度も読み返ししていただければ幸いです。

当ブログを読んでいただきまして、誠にありがとうございます。このブログが、少しでもあなたのお役に立てれば嬉しいです。また、もし少しでも共感することがありましたら、また読んでいただければ幸いです。私も、読んでくれる方が多くなると、ブログを更新するモチベーションにも繋がりますm(__)m

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