モノよりも体験、安全よりもリスク|常識を疑う必要がある時代

この本、とてもいいことが書いてありましたので、ここでもご紹介させていただきます。

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著:ジャレド・ダイアモンド・ダニエルピンク他

モノを買うより体験を買う時代

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モノより体験を買う時、もっと幸せになれる
果たしてお金では幸福を買えないだろうか。ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ノートン教授は、最近出版した本『「幸せをお金で買う」5つの授業』で、通年とは異なり「お金で幸福を買える」と主張する。ただし、それは消費で満足を感じる方法を知っていることが前提条件だ。

(※中略)

ノートン まず、物質を通じて得られる喜びは早く薄れますが、体験から得られる喜びは、はるかに長く続きます。旅行で感じる楽しみは、バッグを買う時のワクワクより長く続くでしょう?

もう一つの理由は、時間が経つほど物の価値は下がっていくことです。物は古くなり、性能も落ち、グレードアップした新製品が相次いで発売されますからね。一方で、経験は形を残さず消える代わりに、時間が経つほど価値が上がっていきます。時が流れ過去を振り返ると、体験した当時には大変だったことも楽しいエピソードとなり、いい思い出に変わります。

これは、まさにその通りだと思います。

何かを新しいモノを購入したときの嬉しさって、実はあんまり長く続かないんですよね。僕も数年前、欲しかったバイクを購入したときはとてもワクワクしていましたが、ちょっとしたら、バッテリーがあがってしまうほど、ほっておいてしまいましたからねw。(でも、先日、復活させましたよ → FTRのバッテリーを復活させた奮闘記)

別に物欲がよくないわけではないのですが、モノを買ったときの高揚感はすぐに過ぎ去っていくし、そのモノの価値は必ず下がるっていうことを事前に知っておいたほうがいいと思います

それよりは、このハーバードの教授が言う通り、経験を買った方がいい思い出になる、と。(これは、確かに、その通りかもしれませんね。)

所有の概念を見直してネーミングの罠に落ちない

一般的に私たちの社会では、家を所有することが幸せになるための必須条件だと考えられている。だがノートン教授は、「住んでいる家と幸福指数は比例しない」と言う。

ノートン 家を買うために多額のローンを組まなければならず、ローンを返さなければならないというストレスや経済的な負担感に苛まれるとするならば、それでも家を持たなければならないのでしょうか。(※中略)

ところが家のために毎日ストレスを感じなければならないのなら、それは確実に幸福指数に大きな悪影響を及ぼすでしょう。さらに、郊外にある家を買ったために毎日通勤に数時間かかるということになれば、ストレスは増えるばかりです。

これも僕は同感です。

いまでも、家を購入するってことが一人前の証のように考えている人は多くいますね。

でも、家を購入することは、自分の手持ち資産の大部分を、全て自宅一点に投資するようなものですので、その投資効率が本当にベストなのかを、もう一度、よ~く考えてみるようにした方がいいと思っています。

事実として、個人のバランスシートでは、家のローンを組んだ時に、負債の枠がドーンと多くなります。これを、一般企業のバランスシートとして考えたら、負債が多くて資本が少ない結構危ない会社です。(あと、“持ち家”というキーワードに踊らされて、35年ローンで購入しても、当たり前ですが、それは本当の意味での持ち家ではありません。ローンの返済までは、銀行のモノです。もちろん、この辺のお話は、個々人によって意見が異なりますので、ご自身が納得のうえでの決断なら、全然問題ないと思います。)

ネーミングの罠は至るところに存在する

“持ち家”というのは、ネーミングの罠ですし、日本の“奨学金”とかいう学生ローンもそれです。(多くの人が、大学を卒業したときに、何百万円の借金を背負うことになります。)

また、家についてもう少し言うと、もし、職場の近くの物件は高くて購入できないからと言って、通勤に1時間以上かかる場所に家を購入したら、普通に不便極まりないと思います。

ということで、個人的には、そろそろ、これまでまかり通っていた日本の常識を疑う必要がありそうだと思っています。なぜなら、日本はもう、そんなには裕福な国ではありませんので。 → ご参考: 豊かな日本で豊かな生活は本当に可能?

リスクをとる!チャレンジする!そうせざるを得ない時代

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自ら責任を負い小さなことから始めよ

ゴーディン 多くの人が「私はこういう仕事をしたいが、上司がさせてくれない」と言います。つまり、自分は芸術家になりたいが組織がやらせてくれないということです。

組織はなぜやらせないのでしょうか。例えばある社員が上司に「私はまったく新しいことを試みようと思います。もし成功したら名声は私のものですが、失敗したらあなたの責任です」と言ったとしましょう。世の中のどこの組織、どこの上司が、そのような取引をしようと思いますか?

しかし、もし社員が自分の挑戦に伴う責任を負う気なら、多くの組織はより大きな権限を付与しようとするだろう、とゴーディンは話す。

組織の中では、なかなかチャレンジがしづらいものです。

それは、ゴーディンが言っている通り、社員本人が責任をとりにくい仕組みになっているからなのですが、これは、良いところと悪いところがありますね。(責任を取りたくない人にとっては最高の仕組みです。ただ、その人は、その仕事は、たぶん楽しくないでしょう。)

チャレンジすると、もちろん失敗する可能性がありますが、チャレンジした人は成長できます。

しかし、その成長率を高めるには、自己責任でやらなければなりません。なぜなら、人は弱い生き物で、『誰かが後で何とかしてくれる』と思っていると、本気でやれないからです

たとえば、この仕事で失敗したら、即解雇とまではいかないとしても、本人が会社に賠償するとかの自己責任が発生すれば、本気で取り組むでしょう。(でも、このようなことは、普通の企業はできません。)

そこで、一般的なよくある例では、自分がやりたいと思った新しい仕事を作りだすためには、上司はもちろん、周りの組織も説得して、中身を吟味して、決裁を取っていき、上からGOサインを出してくれるように立ち回ります。もちろん、時間はかかりますし、しかも、失敗しないような安全策を考えていくうちに妥協案となり、最初の鋭利なアイデアが削ぎ落とされていき、それと同時に本人のやる気も削ぎ落とされていきます。

最終的には、「これなら、言われたことをやるだけのほうがいいや。」と、誰もチャレンジしようと思うことが無くなります。(中小企業の場合は、関わる人が少なくなるので、社長がOKならそれで進めますが、大企業の場合は関係者が多くて調整が大変です。)で、最終的に残るのは、言われたことだけをやる人達のカタマリです。(俗にいう、大企業病ですね。)これは、社員が悪いというよりは、企業のしくみが悪いのかもしれません。

組織としては、チャレンジ精神を歓迎する仕組みを作って置く。また、チャレンジの数も評価軸として採用して、しかも、社員が自分の挑戦に伴う責任を負えるような仕組みが理想的ですね。

もはや、仕事の半分が無くなる時代ですから、このようなことを徐々に進めていく必要がありそうですね。

そして、いち個人がサバイブするためにも、これまでと同じように、言われたことだけをやっているようでは、いつか、その仕事はロボットやコンピュータに取り変わってしまう可能性がありますので、会社員でいるうちに、自分で仕事を作れる力を養っておく必要があると思います。

自分はセールスマンだったということを知る

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さて、最後はダニエル・ピンクさんです。

誰もがセールスマンの時代

新作で彼は「この時代は事実上誰もがセールスマンだ」と主張する。例えば、医師は患者に処方を売り、弁護士は陪審員に評決を売り、教師は学生が聞くに値する授業を売る。他人を説得し納得させ、自分の願う方向に行動するよう仕向ける行為は、基本的にはセールスマンが物を売るのと違いがないというわけだ。

(※中略)

ピンク 現代社会における職場では、ホワイトカラー同士で、過去とは違った種類の交換が行われています。私があなたのボスだとしたら、あなたは私のために時間と労力を提供し、私はそのことで何らかの利益を得ることになります。例えば、プロジェクトを進める時にライバルを抑え優位な立場を得る、というように。そしてその結果、私が得たものをあなたに分けます。これもやはり取引です。

今まで私たちが取引と読んでいたものは、ドルやユーロのような金銭が価値を測定する基準でしたが、現代の取引は時間、労力、エネルギー、信念、献身のような価値で側的されることになります。たとえ私たちが意識できていなくても、現代社会のほとんどあらゆる分野、すべての職場でこのような価値交換が日常的に成立しています。そういう意味で、私たちは皆セールスマンだと言うことができるでしょう。

確かに、会社に時間と労働力を提供して、その対価を得るということも、大きな意味では取引ですね。

また、学生がやる就職活動なんかは、自分自身を企業に売り込むという完全なセールス行為です。そして、セールスに成功した人達が、企業に雇われていき、その中でも、まだまだ、人に頼み、頼まれのセールス行為をしています。

このほかにも、日常的な価値交換は常に行われているので、誰もがセールスマンと言えますね。

過去において最高のセールスマンは問題解決に優れた人だったが、今後は人々が無意識のうちに抱えている問題を明らかにする役割が求められるようになるというわけだ。

(※中略)

ピンクは現代のセールスマンに求められる役割がもう一つあると言う。情報の「キュレーター」だ。日々あふれ出る膨大な情報を調査し整理して、その中から最も最適な情報を拾い上げ顧客に提示すること。人は情報の洪水の中に生きているが、選択肢が多すぎることを生来的に嫌うためだ。

誰もがセールスマンの現代で、必要な能力は、次の2つです。

  1. 問題だと認識できていない問題を明らかにする能力
  2. あふれる情報を取捨選択し、顧客に最適解を提示できる能力

ということで、これからの時代は、この2つの能力を磨き上げていく必要がありそうですね。頑張りましょう。

以上、ご参考まで。

当ブログを読んでいただきまして、誠にありがとうございます。このブログが、少しでもあなたのお役に立てれば嬉しいです。また、もし少しでも共感することがありましたら、また読んでいただければ幸いです。私も、読んでくれる方が多くなると、ブログを更新するモチベーションにも繋がりますm(__)m

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